・ChatGPTを支える「すごい」技術 エヌビディアの株価はどこまで上がる?
中外製薬の株価に回復の兆しが見られます。従来2年に一度だった薬価改訂が2021年から毎年行われることとなり医薬品全体に下押し圧力が働きますが、2023年に入り中外製薬株式は反発するようになりました。2022年12月期に売上収益が1兆円を超えるなど、足元の好業績が評価されたと考えられます。
【中外製薬の業績】
出所:中外製薬 決算短信
【中外製薬の株価(月足、2020年5月~2023年5月)】
Investing.comより著者作成
中外製薬は、2023年7月から算出される「JPXプライム150指数」構成銘柄に、資本収益性基準と市場評価基準の双方を満たして選出されました。今回は今注目の企業、中外製薬に焦点を当ててみましょう。
社名とロゴに秘められた創業の歴史
中外製薬は1925年に創業されました。関東大震災で深刻な薬不足に陥る惨状を見た上野十蔵(うえの・じゅうぞう)が「中外新薬商会」を立ち上げ、薬の輸入事業を始めます。社名に付された「中外」は「国内」と「海外」という意味があり、創業者の「海外の良薬を日本に広め、将来は日本の薬も海外へ届けたい」という思いが込められています。
この思いは実り、中外製薬は1927年に医薬品の製造に乗り出します。1930年に結核向けの鎮痛・消炎・解熱剤として「ザルソブロカノン」を開発し、1937年にはその原料となる臭化カルシウムの自社生産にも成功しました。ザルソブロカノンは創業期で重要な稼ぎ柱となり、現在も中外製薬のロゴにそのアンプルをイメージしたデザインが採用されています。
戦後は解毒促進・肝機能改善薬「グロンサン」が世界的にヒットし、ヨーロッパなど31カ国に輸出されました。生産高は1955年に10億円を超え、需要が低迷していたザルソブロカノンから成長のバトンを引き継ぎます。
大衆薬メーカーとして業容を拡大した中外製薬ですが、次第に医療用医薬品へシフトしていきます。1980年代に「アルファロール」や「セフォタックス」など新薬を次々に投入し、1984年に初めて売上高1000億円を達成しました。2004年には一般用医療品(OTC医薬品)事業を化学大手の「ライオン」へ売却し、現在では医療用医薬品へ特化しています。
ちなみに、ライオンへ譲渡された事業には、現在も人気の殺虫剤ブランド『バルサン』も含まれていました。国内初の家庭用蒸散殺虫剤として中外製薬が開発し、2018年にはライオンからさらに日用品大手の「レック」へ譲渡されています。