次の成長を支える主要な開発パイプライン

中外製薬の成長は新薬の開発によってもたらされています。2022年は製品別売上高の63%を「新薬創出等加算」の対象品目が占めました。これらは後発医薬品(ジェネリック医薬品)のない革新的な製品であることから値崩れしにくく、製薬会社にとって安定的な収益となることが期待されます。

※新薬創出等加算:革新的な新薬の創出を目的に、国が後発医薬品のない一定の品目を指定する制度。指定された医薬品は薬価の引き下げが猶予される。

中外製薬で上市間近と目されるのが「クロバリマブ」です。指定難病の一つ「発作性夜間ヘモグロビン尿症」の治療において2023年2月に有効な試験結果を獲得し、同年6月に厚生労働省へ承認申請を行いました。中外製薬はクロバリマブで1000~2000億円のグローバル売上高を見込んでいます。

【開発プロジェクトの市場売り上げ見込み(2023年2月時点)】

 

出所:中外製薬 決算説明会資料

中外製薬の創薬力は潤沢な研究開発費によって支えられており、2022年度は1400億円にも上りました。今後も先進的な医薬品の開発が続けば、同社の価値はますます向上しそうです。

【研究開発費の推移】

 

出所:中外製薬 「業績・財務、その他指標の推移」より著者作成

文/若山卓也(わかやまFPサービス)