ディスコが株式市場で注目を集めています。25%以上の最終増益となった2023年3月期の決算が発表されたことをきっかけに上昇傾向を強め、株価は3年前の3倍以上に急騰しました。
【ディスコの業績】
売上高 | 純利益 | |
2022年3月期 | 2537.81億円 | 662.06億円 |
2023年3月期 | 2841.35億円 | 828.91億円 |
2024年3月期(予想) | 非開示 | 非開示 |
※2024年3月期(予想)は、同第1四半期時点の同社の予想(第2四半期までの予想は売上高1193億円、純利益287億円)
出所:ディスコ 決算短信
【ディスコの株価】
ディスコは収益性、市場評価制の両面から「JPXプライム150指数」に選ばれる大企業です。足元の株価も好調なことから、今後も話題に上ることが多いでしょう。
今回は世界トップクラスのシェアを握る精密加工装置メーカー、ディスコを紹介します。
「切る・削る・磨く」で世界トップシェアの機械メーカー
ディスコ1937年、第一製砥所として広島県に誕生しました。現在の社名は、当時の英社名(Dai-Ichi Seitosho CO., Ltd.)の頭文字を取り「DISCO」としたことが由来となっています。
ディスコは、もともとは工業用砥石を手掛けていました。機械メーカーへの転身は、半導体分野への進出がきっかけです。同社はシリコン半導体の加工用砥石の製造に乗り出しますが、砥石を搭載する機械は別のメーカーが手掛けていました。しかし性能を十分に生かす切断装置がなかったことから自社で開発に乗り出します。
そして1975年、ダイシングソー(シリコンウェハの切断装置)の「DAD-2H」が完成します。これが当時シリコンバレーで開かれた展覧会で大きな話題を呼び、世界中の半導体メーカーから受注を獲得するきっかけとなりました。
今ではディスコは半導体の精密加工装置、すなわち「切る・削る・磨く」加工を行う機械のトップメーカーとして君臨しています。そのシェアは非常に高く、ダイシングソーは7~8割、シリコンウェハの研削や研磨用の機械では6~7割を占めています。半導体デバイスの製造において、もはやディスコの存在なしで考えることができません。
経営成績も抜群です。半導体は比較的浮き沈みの激しい業界ですが、ディスコの売上高はおおむね右肩上がりに増加しており、営業利益率は4割に迫ります。財務も健全で、自己資本比率は7~8割で推移してきました。
【売上高・営業利益率の推移(2011年3月期~2023年3月期)】
【現預金・自己資本比率の推移(2011年3月期~2023年3月期)】