ディスコで流通する社内通貨「ウィル」とは
ディスコの強みとしては、社員の生産性の高さも見逃せません。従業員は3093人、経常利益は1067億円(単体、2023年3月期)ですから、単純に従業員1人で3400万円以上を稼ぐ計算です。
なぜディスコの社員はこれほどの収益力を持つのでしょうか。その理由は、社内通貨「ウィル」を用いた「個人ウィル会計」という制度にあるのかもしれません。
個人ウィル会計では、業務を遂行するなどして会社に貢献した社員にはウィルが付与されます。反対に自分への人件費や他社員へ業務の依頼など、会社のリソースを利用するほどウィルが減ります。この仕組みを通じ、社員一人一人の収支がウィルで可視化されることとなります。ウィルは賞与にも反映されることから、社員に採算を意識した働き方を促す効果が期待できるでしょう。
貯まったウィルは経費の決済に用いるほか、「社内オークション制度」を通じて他社員に業務を依頼することも可能です。さらに「社内クラウドファンディング」で一定以上のウィルを募ることで新規事業の開発に乗り出すこともできます。つまり、ウィルを介することで社員は個人事業主のように広い裁量を持って働くことが可能となるのです。
これらの仕組みは従業員のモチベーション向上に期待できます。ディスコの社員がよく働くのは、ユニークな社内制度と無縁ではないでしょう。
文/若山卓也(わかやまFPサービス)