東急の株価がコロナショックから回復しつつあります。2020年7月にかけて1100円台まで下落し、2021年からおおむね右肩上がりに上昇してきました。陸運業や小売業を営む東急は大打撃を受けたものの、最悪期からは脱しつつあるようです。
【東急の業績】
売上高 | 純利益 | |
2022年3月期 | 8791.12億円 | 87.82億円 |
2023年3月期 | 9312.93億円 | 259.95億円 |
2024年3月期(予想) | 1兆306.00億円 | 400.00億円 |
※2024年3月期(予想)は、2023年3月期時点における同社の予想
出所:東急 決算短信
【東急の株価(月足、2019年6月~2023年6月)】
東急は私鉄でトップクラスの規模を持つ企業で、市場評価(PBR基準)から「JPXプライム150指数」にも選ばれています。渋谷の開発実績から身近に感じる人も少なくないでしょう。今回は東急の歴史と、渋谷で進む開発プロジェクトを紹介します。
不動産と百貨店で稼ぐ100年企業
東急は1922年、渋沢栄一が設立した田園都市株式会社の鉄道事業を分離する形で誕生しました。当初は目黒蒲田電鉄として目黒線(目黒~丸子)で開業し、1924年に武蔵電気鉄道を買収してからは東横線(渋谷~桜木町)も開通します。両社は1939年に合併し東京横浜電鉄へ、さらに1942年には京浜電気鉄道・小田急電鉄を合併して東京急行電鉄となりました(両社は1948年に分離)。社名を現在の東急に改めたのは2019年のことです。
東急の交通事業は、関東私鉄のなかでもトップクラスの規模を誇ります。売上高に相当する営業収益は1840億円(2022年3月期)に上り、東武鉄道に次いで2番目に位置しています。
【私鉄の交通・運輸セグメント営業収益ランキング(2023年3月期)】
1.東武鉄道:1891.89億円
2.東急:1840.54億円
3.小田急電鉄:1517.04億円
4.京成電鉄:1478.59億円
5.西武HD:1437.07億円
6.京王電鉄:1111.93億円
7.京浜急行電鉄:988.00億円
8.相鉄HD:356.79億円
出所:各社の決算短信
もっとも、東急にとって最大の稼ぎ頭は交通事業ではありません。決算を確認すると、営業収益や営業利益の大半は不動産事業や生活サービス事業(百貨店など)で稼いでいることがわかります。交通事業は、コロナ前までは不動産事業に並ぶ収益源でしたが、まだ完全な回復には至っていないようです。
【東急のセグメント業績】
2020年3月期 | 2023年3月期 | |||
営業収益 | 営業利益 | 営業収益 | 営業利益 | |
交通事業 | 2136億円 | 270億円 | 1840億円 | 85億円 |
不動産事業 | 2101億円 | 290億円 | 2204億円 | 288億円 |
生活サービス事業 | 7079億円 | 134億円 | 5172億円 | 110億円 |
ホテル・リゾート事業 | 961億円 | -14億円 | 708億円 | -41億円 |
出所:東急 決算説明資料