2024年3月期は減収減益 翌期はどうなる?

順調に成長してきた東京エレクトロンですが、2024年3月期は減収減益を予想しています。売上高が前期比17%減、純利益が同28%減となる計画です。予想通りなら2020年3月期以来4期ぶりの減収減益となります。

【東京エレクトロンの業績の推移(2017年3月期~2024年3月期)】

出所:東京エレクトロン 有価証券報告書および決算短信より著者作成

東京エレクトロンは見通しを引き下げた理由に半導体メーカーによる投資の抑制を挙げました。

2022年はメモリ大手が苦戦した年です。市況価格が下落し、韓国のサムスンやSKハイニックス、アメリカのマイクロンといった大手のメモリ事業は業績の悪化に苦しみました。減産や設備投資の削減に踏み切る企業が相次ぎ、日本の半導体製造装置の販売額(3ヵ月移動平均値)は2023年の過半の月で前年を下回りました。東京エレクトロンもこの影響から業績が悪化したとみられています。

【日本の半導体製造装置の販売額(3ヵ月移動平均値、前年比)】

なお、2025年3月期は環境の改善が予想されています。日本半導体製造装置協会は2024年1月、日本の半導体製造装置の販売高は2024年度に27%増加し、2025年度は10%の増加を予測しました。半導体メーカーの投資回復が期待されること、各国政府の支援で大型の設備投資が計画されていることを理由に挙げています(出所:日本半導体製造装置協会 半導体・FPD製造装置需要予測(2024年1月))。

東京エレクトロンも決算説明会において市場の回復を予想しています。メモリはDRAM型が好調で、NAND型は調整が継続するも2025年度は在庫の調整が進むことから上向くと予測しました(出所:東京エレクトロン 2024年3月期第3四半期決算説明会 質疑応答集

足元で好調な株価は、翌期に対する期待も織り込まれているのかもしれません。