毒親がつくり上げた我慢体質

母親は山口さんの離婚後、実家に身を寄せない山口さんに憤り、さらに強く当たるようになっていった。母親の会社を手伝っている手前、母親とは毎日顔を合わせる。

「あんたに実家はいらないんだね。私のことが必要ないなら親子の縁を切ろうか」と口癖のように縁切り宣言をしてくる。

その度に山口さんは、「また始まった。本当にめんどくさい。縁を切りたいのはこっち方だし!」と思いながらも耐えた。

一方、元夫は離婚後、会社を辞め、行方をくらました。一度も養育費を払うことはなく、子どもたちに会いに来ることもなかった。

「元夫は、浮気をしたこと、仕事で集金したお金をギャンブルに使ってしまったこともありました。ボーナスは全てギャンブルに注ぎ込み、決して裕福ではないのに、車検が来る度に車を買い替えていました。私は高校2年から、ただひたすら我慢していました。毒親育ちの特徴の1つである異常なまでの我慢強さが、全て悪い方へ働いたと思っています。『私が我慢すれば誰も悲しまず、平穏無事に終わる』と思っていましたが、我慢は結局、問題から逃げているだけでした。当時は自覚こそありませんでしたが、元夫や母親の言葉にこれ以上傷つきたくないから、反論せずに石のようになっていたのです。今は、我慢は美徳ではないと気付きました」

現在山口さんは、母親と絶縁し、自分で会社を経営。2人の子どもは成人し、それぞれ結婚して幸せに暮らしている。

「ダメ元夫に1つだけ感謝していることは、2人の子どもを育てさせてくれたこと。毒親育ちの私ですが、子どもたちを毒牙にかけず、無事に育てられたかな……? これからも遠くから見守っていきたいと思います」