多くの日本人にとって、税金は「勝手に取られるもの」というイメージではないでしょうか? 特に徴収から納税まですべて事業主にお任せしている会社員の場合は、その傾向が強いようです。
一方で「節税」のワードにはめっぽう弱い。人気のふるさと納税は、本来自分の居住する地域に払うべき住民税を別のところに先払いしているだけなのに、いつのまにか「お得な節税」だと刷り込まれている人も少なくありません。実際は節税ではなく、実質2000円の自己負担でうれしい返戻品がいただける仕組みなのですから、税金が得するという誤解からはそろそろ卒業したいものです。
生命保険の保険料で、どれほどの“節税”になるのか
では生命保険はどうでしょう? 保険に加入する際に営業の方からの「節税にもなりますから」という言葉に背中を押されたものの、一体どのくらい得になるのかも知らずに何年も保険料を支払っている人もいるのではないでしょうか?
生命保険に加入していると、年末には保険会社から「生命保険料控除証明書」が届き、それを会社に持って行くと年末調整をしてもらえます。そして12月の給与にいくらかの還付金が加算されているはず、こんな風にお考えの方も多いのではないでしょうか?
まず「控除」という言葉は、経費と理解できます。税金は、年収といういわゆるみなさんの“売り上げ”から経費を差し引いた残りが所得、つまりもうけに対して掛けられます。従って年収が同じであっても、控除が多くなればその分支払うべき税金も少なくなるという訳です。
生命保険は、リスクに備えるために個人が任意に加入するものですが、そもそも生命保険とは、国の保険、すなわち社会保障の給付だけではまかない切れないリスクをカバーするために補完として加入するもので、準社会保障的な役割があるため、その掛け金が控除として認められています。
それだけ重要な役割を担っているので一民間企業の商品であっても、税金が還付されるのです。とはいえ、控除の額には上限が設定されています。例えば月2万円の保険料を支払った場合、生命保険料控除は4万円です。24万円の保険料を支払ったにもかかわらず全額控除の対象にはならないのです。
また住民税でも生命保険料控除は有効ですが、やはりここにも上限が設定されています。住民税における生命保険料はさらに小さく、先ほどの例であれば2万8000円が控除の上限となっています。