キャリア猫を引き取った理由
普通なら、キャリアの猫なんてと引いてしまうのかもしれません。しかし、私は逆に、キャリアの猫だからこそ自分が何とかしなければと思いました。
私が2匹を引き取る意思を示すと、後日、ボランティア団体をサポートする獣医師から猫白血病ウイルスに関する説明がありました。猫全体の3~5%程度がウイルスのキャリアですが、猫白血病を発症するのはそのうちの20~30%に過ぎず、長生きしている猫が少なくないということでした。
「なぁんだ」と思いました。キャリアの猫でも4匹に1匹しか発症しないのであれば、くるみとみかんは大丈夫に決まっている。私自身もともとお気楽なタイプではありますが、今思えばそんな“根拠なき楽観”に突き動かされて2匹を引き取ることにしたのです。
幸い私のアパートはペット可で、猫なら2匹まで飼うことができました。すぐにショッピングセンターの中のペットショップに出掛けて、ベッドやトイレにトイレ砂、餌、猫のおもちゃなど大量の猫グッズを買い込みました。
くるみとみかんとの生活は、アラサー、シングル、彼氏なし歴5年の私の日常を大きく変えました。疲れて家に帰っても、かわいい猫たちが待っていてくれる。そう思うと、ハードな仕事もやる気が出ます。
猫はスピリチュアルな動物と言われることもありますが、くるみやみかんといると不思議とイマジネーションが湧いてきて、自分でも「これ、いいじゃん!」と思うデザインを次々と発表することができ、勤務先で大きなプロジェクトを任されるようになりました。
くるみとみかんがやって来て1年後には、晴れてチームリーダーに抜てきされました。しかし、幸せは長くは続きませんでした。2匹がやって来て1年半後、満2歳の誕生日を祝った直後に、みかんが白血病を発症したのです。
●なりふり構わず看病を続けた安永さんを待ち受けていた“地獄”とは? 後編【猫の治療で貯金が底をつき「借金300万円」…“何もかも”失ったアラサー女性の後悔】で詳説します。
※個人が特定されないよう事例を一部変更、再構成しています。