金融経済教育推進機構の創設を前にして「今、できること」

なお、この金融経済教育推進機構は、新たな認可法人として2024年春に設立され、同年夏の本格稼働が予定されていますので、具体的な相談ができるようになるのは、もう少し先になりそうですね。

では、今はまだ中立的なアドバイスを得ることはできないのでしょうか? 私はそんなことはないと思います。なぜなら、金融経済教育推進機構はあくまでもアドバイスの提供元を整備する話、逆にアドバイスを受ける側でできることもあるからです。

そして、この金融経済教育推進機構の組織母体となる金融広報中央委員会が事務局としてまとめた「金融リテラシー・マップ」が、最低限身に付けるべき金融リテラシーの内容としているのが、「家計管理」「生活設計」「金融知識及び金融経済事情の理解と適切な金融商品の利用選択」および「外部の知見の適切な活用」の4つの分野ですね。特に注目すべきは、4つ目の「外部の知見の適切な活用」、つまり、金融リテラシーには、金融機関のサービスをうまく活用することも含まれているのです。

いや、むしろ、これこそが、金融リテラシーを一言でいえば、「お金の知識と判断力」だと言われる所以(ゆえん)ではないかと思いますし、たとえ、金融経済教育推進機構が創設されたとしても、個々人にとっては乗り越えなければならない、そんな課題になると思うのです。

であれば、中立的なアドバイスを得るために「今、できること」とは、金融経済教育推進機構の創設を待つのではなく、今からご自身の金融リテラシーを高めること、その上でいくつかの金融機関で話を聞き、どの金融機関を利用するのかをご自身で判断すること、そういうことではないでしょうか。

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繰り返しになりますが、私は証券会社に勤めています。ですから、このご質問への回答が中立的なものであるかどうかは読者の判断にお任せしますが、一つでも二つでも、何か参考にしていただける内容があればうれしいですね。最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。