金融経済教育推進機構って、どんなところなの?
ところで、「資産所得倍増プラン」が打ち出されたのは2022年11月。その後、金融経済教育推進機構の創設等を盛り込んだ法案が国会に提出され、2023年11月20日に成立、11月29日に公布されました。そこで、金融庁の説明資料※2を参考にして、金融経済教育推進機構とは、どんな組織で、どんなことをやろうと考えているのか、少し整理してみました。
※2 出所:金融庁提出資料(第36回消費者教育推進会議〈令和5年11月29日〉)
まず、組織の母体になるのは金融広報中央委員会。有名なのは、最低限身に付けるべき金融リテラシーを体系的に整理した「金融リテラシー・マップ」、このとりまとめを行った事務局が金融広報中央委員会ですね。金融経済教育推進機構には、金融広報中央委員会による、これまでの金融経済教育の推進機能が移管・承継される、とのこと。
さらには、民間団体の関連事業も移管されるようですね。この民間団体とは、例えば、全国銀行協会や日本証券業協会、投資信託協会等の業界団体のこと。それぞれの団体で、個々に行っている金融リテラシー向上に向けた取り組みを金融経済教育推進機構に集約、官民一体となってより効率的に金融経済教育を進めていく、そんな気概が感じられる組織体制だと思います。
つぎは、金融経済教育推進機構がやろうとしていること、以下の6つが取り組みとして掲げられています。
1.顧客の立場に立ったアドバイザーの普及・支援
2.金融経済教育活動の重複排除・抜本的拡大
3.金融経済教育の質の向上
4.教材・コンテンツの充実
5.個人の悩みに寄り添ったアドバイスの提供
6.調査・統計を踏まえた戦略的な教育の展開
これらはいわばお題目ですから、ご質問の趣旨である「中立的なアドバイス」という観点から申し上げると、まずは①の顧客の立場に立ったアドバイザーの普及・支援では、金融経済教育支援機構が顧客の立場に立ったアドバイザーの認定を行う、とのこと。さらには、ある雑誌に掲載された設立準備室長の解説※3によれば、認定アドバイザーをリスト化・公表することも視野に入れているようですね。
※3 出所:「来春の設立向け動き出した『金融経済教育推進機構』の全容」(週刊金融経済事情、2023/12/5)
また、②の金融経済教育活動の重複排除・抜本的拡大では、企業の雇用者向けセミナーや学校の授業への講師派遣事業を全国において拡大するとともに、⑤の個人の悩みに寄り添ったアドバイスの提供では、認定アドバイザーによる個別相談も実施する、とのこと。まさに、ご質問者にとっては100点満点の回答が詰まっているのが、金融経済教育推進機構の取り組みじゃないかと、そんなふうに思う次第です。