さまざまな金融商品に分散投資できる投資信託。注目を集めることが多いのは株式を中心に投資する株式ファンドですが、債券を投資対象とする「債券ファンド」にも、低リスク・安定したインカム収入といった異なる魅力があります。
ここではNISAの成長投資枠でも購入できる債券ファンドの特徴や注意点について紹介します。
そもそも債券とは?
改めてとはなりますが、債券とは「国や企業が資金を借り入れるために発行する借用書のようなもの」です。
債券には利率や満期日が設定されています。投資家(債券購入者)は定期的に一定の利払いを受け取りつつ、満期日に額面の全額が返ってきます。債券の発行体が破綻しない限り、発行から満期まで保有すれば元本割れしないため、株式と比べると比較的安全性の高い金融商品と言えます。
債券は国が発行する「国債」、地方公共団体が発行する「地方債」、民間事業会社が発行する「社債」などに分けられます。また、発行体が外国の債券は「外国債券」と呼ばれます。
国債は国が元本を保証するため安全性が高いですが、利回りは低め。社債は国債に比べて利回りが高い一方、発行元の企業の経営破綻などで元本が支払われなくなる債務不履行(デフォルト)リスクも高くなります。
なお、各債券の債務不履行リスクは格付けで判断できます。格付けは発行元の信用度をもとに格付け会社が定義しており、格付けが低い債券ほど利回りが高くなる傾向にあります。
また、一般的には債券と株式の値動きは逆になることが多く、株式と債券を両方持つことで、分散投資によるリスク抑制効果が期待できます。
異なる資産同士の値動きの連動性は「相関係数」で表されます。2つの資産の相関係数が1に近いほど値動きは類似しやすく、-1に近いほど反発するように動きます。国内債券と国内株式の相関係数は-0.158。弱い負の相関といえます。
分散投資の選択肢としても有用な債券。その債券へ手軽に投資できるのが債券ファンドの魅力なのです。
債券ファンドのきほん
前述のとおり、債券ファンドとは債券を中心に運用する投資信託商品を指します。株式ファンド同様、投資家から集めたお金を原資に運用を行う仕組みです。
投資先の調査や選定は運用のプロに一任。配分比率のメンテナンスや売買手続きなどもおまかせできます。
債券は株式同様、個別銘柄の取引も可能ですが、取引単位の金額も大きく、投資先の分析に手間もかかります。
その点、債券ファンドなら安定性の高い「国債」を中心としたファンド、高利回りな「「社債」に投資するファンド、あるいはそれらを組み合わせたファンドなど、自分の投資スタイルに合った商品を選ぶだけ。
投資判断に自信が持てないビギナーの方や、分析に時間をかけられない方でも、債券ファンドを通じて効率的な債券投資を実現できるのです。
投資地域や運用方針ごとに種類がある
債券ファンドは大きく投資対象地域・運用方針に応じて分類できます。
このほか、購入期間や決算頻度、外国債券を含む場合は為替ヘッジの有無などでも細かく種類が分かれます。
例えば、大きなリターンを狙うのであればアクティブ型の債券ファンドを選びたいところです。とはいえ、歴史的な低金利状態が続く昨今、国内債券のみに投資するアクティブファンドではリターンに対してコストが大きくなりすぎる恐れもあります。
一方で、外国債券は国内債券より利回りが比較的高い傾向です。より積極的にリターンを求めるなら、外国債券を組み込んだ商品が候補となるでしょう。
債券ファンドのメリット
ここまで債券ファンドの基本について紹介してきました。ここからは詳しいメリットについて触れていきます。
【メリット1】株価下落のショック軽減が望める
債券価格と株価の相関関係は低いとされています。
相関関係の低さは、株価の動きと同じ動きをするケースが少ないことを示します。そのため、債券は株価下落時のショックを軽減する効果があると言われています。
また、債券ファンド自体も複数の債券を保有する仕組みのため、債券単体に投資するよりも高い分散効果が望めます。
【メリット2】安定したインカム収入が期待できる
投資信託のなかには一定間隔で分配金が支払われる商品もあります。分配金はおもに運用で得た収益を原資として、投資家に還元されます。
収益が不足していた場合、分配金は元本の一部を払い戻す形で支払われたり(特別分配金)、支払い自体がなくなったりします。
債券ファンドの場合、おもな収益は利息や売却益など。とくに利息は発行元が債務不履行にならない限り支払われるため、安定した収益が期待できます。その分、投資家も分配金によるインカム収入が期待できるのです。
債務不履行や為替のリスクは要チェック
個別株や株式ファンドと比べると低リスクな債券ファンドですが、注意すべき点もいくつかあります。
その一つが、発行元の信用度です。信用度が低い債券は利回りが高いですが、その分、債務不履行(デフォルト)となって元本が支払われなくなる恐れもあります。
発行元の信用度は格付けでチェックできますから、債券ファンドを選ぶ際はファンドがどのような投資先を選んでいるか、必ず目を通しましょう。
また、外貨建て債券の場合は為替リスクにも注意が必要です。
外貨で受け取った分配金や償還金を日本円に替える際、払い込み時と比べて円高だと手取りが減り、大きな損失となります。為替ヘッジを行う投資信託であれば為替リスクの軽減が可能ですが、追加のコストが発生するうえ、為替リスクを完全になくせるわけではない点には留意しましょう。
【まとめ】債券ファンドならではの魅力にも注目
債券ファンドは株式ファンドと組み合わせた際の分散効果の高さはもちろん、それ自体のリスクの低さや安定したインカム収入など、多様な魅力を持つ投資先です。
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