意外な申し出に、仲のよかったきょうだいが一変!?
当社にも日々、相続にまつわるご相談があり、すでに親族間で「もめている」ケースも多々あります。典型的な例をご紹介しましょう。
<ご相談事例>
Kさんプロフィール
東京都在住の50代男性
職業:自営業
家族:同年代の妻と2人暮らし
きょうだい:姉、妹、弟
実家:東京都下の一軒家。父親は数年前他界、母親も認知症で1年間要介護
Kさんは都内在住で小さな会社を経営しています。お父さまは他界され、お母さまもここ1年は認知症を患いご自宅で要介護状態でした。
きょうだいはそれぞれ独立し、実家とは別の場所に住んでいます。お母さまが認知症を患われてからは、長男であるKさんがお金を出してホームヘルパーを雇いつつ、独身の妹が時々面倒を見に通っていました。ご実家は資産家というほどではありませんが、実家の建物と土地以外にお父さまが残した現金や証券もあり、お母さまが亡くなったあとには全てを現金化し、きょうだい全員で分けることになっていました。
ご実家はアクセスも悪くはなく、ベッドタウンとしても人気のエリアでしたが、郊外にあるため、都心に住んでいるきょうだいたちは誰も住みたがっていませんでした。当然、Kさんはお母さまが亡くなったり、施設に入られたりした場合は、ご実家を処分されるつもりでした。
そんな時、お母さまが急に亡くなられました。もともと持病もあったため、急なこととはいえ、きょうだいたちも覚悟はしていたようです。全員が集まって、つつがなくご葬儀を終えられました。
落ち着いた頃に相続の話になりました。Kさんはお母さまの生前に取り決めていた通り、すべての資産を現金化して、きょうだい4人で公平に分けるつもりでした。ところが、時々認知症の母を見舞っていた妹が、実家に戻りたいと言い始めたのです。
聞けば、妹はこの不景気で家賃を払っていくのが苦しく、この機会に実家を守っていきたいとのこと。姉、弟はそれぞれ家庭があります。反対する人はいませんでした。妹は実家と土地を相続することになり、Kさんとほかのきょうだいはそれ以外の現金などの資産を遺産として相続すると決め、これで万事収まるかと思いましたが、これが意外な騒ぎに発展しました。