ローン完済後「築35年」の家は年齢を重ねたときに快適とは限らない…

50代だと住宅ローンの返済がまだ残っているという方も少なくないでしょう。その場合も今後の住まいをどうしたいのかを考えておきましょう。仮に「終のすみか」だと考えるのであれば、35年の住宅ローンの返済が終わる頃、あなたの住まいは35年分劣化しているので、これからはメンテナンスに費用がかかってきます。

35年前に購入した際に、気に入っていた間取りもこれから年をとって身体の自由が利かなくなった時でも不自由なく暮らせるのか考えてみましょう。お部屋のデザインとして魅力的だった立体的な構造も、高齢になれば転倒リスクにつながる段差になります。ゆったり身体を休めることができる大きめのバスタブも、高さがあれば入りにくく、捕まるところがないバスタブには危険がいっぱい潜んでいます。すてきな景色を生み出す坂道も、風の通りが良い2階のベランダも、若いからこそ楽しめる要素であり、年をとったら苦痛になってしまうかもしれません。お庭もしかり、夏にはプールを出し、子どもたちが遊んだ庭も、高齢になると手入れが難しく荒れてしまう一方です。

今の住まいがこれからの自分のライフスタイルに合うのかどうか考えることもメンテナンスの一つであると言えます。これから先の長い時間、なかなかイメージしづらいかもしれませんがぜひイメージを膨らませてみて下さい。

もちろん住宅ローンのメンテナンスも必要です。実際みなさんのローンは何歳が完済予定でしょうか? 何歳まで働きたいのか、いくらくらい稼げそうなのか、年金はいつから受け取りいくら受給できるのかなどいろいろお考えも固まってきているでしょうから、今一度何歳での完済が現実か考えてみましょう。年金生活になってまでも、今と同じ住宅ローンの返済が可能かというとかなり厳しいです。

繰り上げ返済をするべきか、借り換えの交渉をするべきか、このまま予定通り返済するつもりでその資金を今から別途“よけて”おくのか、ケースにより対策は異なります。退職金の全額を住宅ローンの残債にあてるといったことは無謀です。これからまだまだ続く人生にかかる資金は残しておかなければなりません。

賃貸の場合も同様です。毎月の家賃は経費ですから、年金生活になっても払っていけるのか判断しましょう。現役の時は職場に近い方が良いと少し値段が張っても交通の便を優先したかもしれませんが、これからは月の固定費は少しでも下げたいという気持ちもあるでしょう。今後の生活スタイルを考えると、恐らく住まいを選ぶ条件も変わるでしょうから、時間があるときに少しずつリサーチを進めましょう。やはり年金からでも余裕をもって支払える家賃に抑えたいものです。

認知症の発症や身体の状態によっては、1人で暮らすのが難しくなることもあるでしょう。その場合は、有料老人ホームやグループホームといったところに移ることもあるでしょう。こういった施設は、お住まい地によってかなり差があるのでどこに住んでいるのかによって使える介護サービスが異なるということは知っておいた方が良いでしょう。従って、これから引っ越しをする際は、介護を受ける立場を想定してリサーチすると良いかもしれません。