「老後のための貯金はないけれど、持ち家だからなんとかなるだろう」とおっしゃる方が少なくありません。しかし、不動産というものはなかなかやっかいなもので、思っているほど物事はうまく進みません。
「古い家でも、いくらかのお金にはなるだろうからそのお金で施設に入ろう」なんてぼんやりと目論んでいたら、大変なことになります。
まず不動産は、なかなか売れません。もちろんすぐに売れる物件もありますが、皆さんの持ち家は恐らくそれほどすぐには売れないでしょう。住宅購入を考えている方の多くは新しい物件を希望されます。最近の住宅ローンは今の時代にあった設備を備えた物件に対し金利優遇をする傾向があるので、古い住宅はますます売れにくくなります。
古い物件は当時の生活スタイルには合っていたかもしれませんが、その環境を買い手が希望するかというと違うことも多いです。当時最新の設備だったかもしれませんが、今となっては頻繁に故障し、その度に修理費用がかかる“お荷物”になっているかもしれません。また生活環境も新しい駅ができた、幹線道路ができた、スーパーができたなどの周辺の変化から、あなたの住宅の価値も変化します。
従って、老後資金対策に「住宅」を資産として活用しようと考えている場合は、少し冷静になる必要があります。我が家は売れるのか、売れるとしたらいくらか、売るために手を入れた方がよいのかどうかなどです。想定外のことが起こり、急に家を売る必要が出てきたなんてことになったら、それこそ「たたき売り」をするしかできなくなるので、できるだけ時間に余裕をもって取り組むことが重要です。
不動産の値段は、一つではありません。タイミングや売り方によっても値段が変動します。もし家を売却することを前提とした老後を考えているのであれば、早め早めに作戦を練りましょう。