J-REITへの投資に向いているのは「資産活用層」
「新NISA」×「J-REIT」というフォーマットで運用するのであれば、私は資産形成層よりも、資産活用層の人たちにこそ向いているのではないかと考えています。
J-REITは確かに1口から投資できますし、不動産の現物投資に比べれば、はるかに低い金額で、より優良な物件に投資できます。
その意味では、J-REITを活用することによって、ポートフォリオの分散を図ることはできるのですが、資産形成層が長期の資産形成を行うに際して、強い武器になるものと考えられている再投資効果を期待することはできません。
J-REITはどちらかというと、ある程度まとまった資金で投資し、そこから得られる分配金を非課税で受け取るという使い方が、むしろしっくり来ると思うのです。
新NISAの成長投資枠を活用するメリット
たとえば成長投資枠を活用して、日本ビルファンド投資法人を買い付けたとしましょう。7月14日時点の投資口価格である59万8000円で購入すると、年間の非課税枠は240万円なので、4口まで投資できます。
かつ成長投資枠のみで投資した場合の非課税枠は総額1200万円ですから、1口あたりの投資口価格が不変だとすると、5年間で合計20口分まで投資できます。
この20口分から得られる分配金を、非課税で受け取ることができます。直近2期の1口あたり分配金合計額は、前述したように2万4976円ですから、20口分だと49万9520円になります。
本来であれば、49万9520円に対して20.315%の税金がかかりますから、10万1477円が税金として差し引かれ、手取りは39万8043円になってしまうところですが、新NISAの成長投資枠を活用して非課税運用すれば、分配金に対して20.315%の税金を取られることなく、49万9520円をまるまる受け取れることになるのです。
この金額を12で割ると4万1626円です。月々の公的年金額に対して、4万1626円がオンされれば、リタイヤメント後の生活も少しは楽になるでしょう。
こうした点で、「新NISA」×「J-REIT」のフォーマットは、むしろ築き上げた資産から生じるインカムゲインを有利に活用する手段としての方が合理的であるように思えるのです。