再投資の難しさ

ただし、前述の計算例でひとつ注意しなければならないのは、分配金の再投資が可能かどうかという点です。

「非課税&再投資あり」の数字は、決算日に受け取ることのできる分配金を再投資するという前提であると考えられます。この場合、支払われた分配金でもって、同一のJ-REITを買い付けて、それを再運用していくことになります。

それを20年間続けることによって、20年後に100万円が219万円になるという計算ですが、現実問題として、J-REITの再投資運用はそう簡単にはできません。

現状、J-REITの最低投資口数は1口単位となっています。では、1口あたりの投資口価格がいくらになるのかというと、なかには5万円前後の銘柄もありますが、多くのJ-REITは10万円以上です。

最も高い日本ビルファンド投資法人になると、1口の投資口価格は、7月14日時点で59万8000円です。つまり、1回の分配金額が60万円程度にならないと、日本ビルファンド投資法人で再投資効果を得ることはできないのです。

日本ビルファンドの場合、年2回の決算が設けられ、その都度、分配金が支払われます。ちなみに直近2期の分配金額は、42期が1万3476円で、43期が1万1500円でした。つまり年間で合計2万4976円です。

1口あたりの分配金額が年間2万4976円ですから、これではとても1口あたりの投資口価格が59万8000円の日本ビルファンドに再投資することはできません。単純に計算すると、約24口が必要です。24口ということは、1435万2000円を投じなければなりません。資産形成層にとっては、いささか難しい額といえるでしょう。