退職金はサラリーマンの老後を支える重要な資金源ですが、昨今「退職金の支給額は減少傾向にある」という話題がたびたびメディアで取り上げられています。

その理由は、企業の採用する退職金制度が、勤続年数に比例して支給額が増えるタイプから、ポイント制などの成果を反映するタイプ変化してきているからではないかと考えられています。

会社員の退職金は20年間で“こんなに”減った

では、日本の民間企業の退職金支給額はどのように変化しているのでしょうか?

「減っている」と言われる根拠は、厚生労働省が実施している「就労条件総合調査」がおよそ5年ごとに実施している「退職金(一時金・年金)の支給実態」のデータです。時系列に並べたものを見てみましょう。

●時系列で見る勤続年数ごとの退職金支給実態

出典:厚生労働省『就労状況総合調査』平成30年、25年、20年、15年、9年のデータより筆者作成
※2003年までは「本社の常用労働者が30人以上の民間企業」、2008年以降は「常用労働者が30人以上の民営企業」が調査対象

上記のデータを見ると、1997年は、勤続30年以上になると退職金が一気に増えて、1つの会社で35年以上勤めた人は3000万円超の退職金を受け取れたことがわかります。一方で、近年は、勤続年数が増えたからといって劇的に退職金が増額することはなくなっているようです。