退職金制度の変化が支給額に与える影響とは?

また、支給額を退職金制度の受け取り方別(※)に分類したデータもあります。

※退職金制度は、受給方法によって「退職一時金制度」「退職年金制度」「両制度の併用」の大きく3つに分類されます。分類についての詳細は連載第1回【「自分の退職金の額を知らない人」がマズい理由…まず何から調べるべき?】で解説しています。

●退職金制度の形態別に見る定年退職者の退職給付額

出典:厚生労働省『就労状況総合調査』平成30年、25年、20年、15年、9年のデータより筆者作成
※勤続20年以上かつ45歳以上の定年退職者の給付額(大卒 管理・事務・技術職)
※1997年は男性定年退職者

退職金制度の形態別のデータを見ると、一時金よりも企業年金がより大きく減少している印象を受けます。これは1997年当時の企業年金は、「厚生年金基金」や「適格退職年金」が主流で運用も良好だったため、まだ給付額が多かったからではないかと考えられます。

しかし、予定利率5.5%で運用するはずだった厚生年金基金は、バブル崩壊後の運用悪化により予定利率を下回る運用が続き、企業は積立不足を補うために損失を負担する事態に追い込まれました。また、適格退職年金も法改正によって事業主の税制上のメリットがなくなりました。

現在は両制度とも新設不可となり、ほとんどの会社の企業年金制度は確定給付企業年金(DB)や企業型確定拠出年金(DC)へと移行が進んでいます。こうした制度の変化も退職金の支給額に影響していると思われます。