退職金のデータをもっと知るなら…

これまで紹介してきたデータは、厚生労働省により調査されたものですが、実は、退職金額を調査しているデータはほかにもいくつかあります。

●退職金にまつわる主な調査

筆者作成

先ほどご紹介した厚生労働省の「就労条件総合調査」のデータは、幅広い業種や企業規模をカバーしており、有効回答数も多いため、調査結果が常に注目されています。ただし、退職金制度についての調査は、約5年に一度しか行われていないため、発表直後から時間がたつにつれて状況が変化していることを知っておきましょう。

そして、これらのうち、民間企業に対する調査だけでなく、公務員の退職金との比較を行っているのが人事院の「民間企業の退職金及び企業年金の実態調査」です。

やはり公務員の退職金は高いのか?

その比較結果を見る前に、まずは公務員の退職手当の支給状況を見てみましょう。次のグラフは、内閣人事局の調査を参考に、国家公務員の直近5年分の退職手当の支給額を表したものです。

●国家公務員退職手当の支給状況

内閣人事局「退職手当の支給状況」を元に筆者作成

国家公務員の退職金は、会社員の退職一時金にあたる退職手当と企業年金にあたる共済年金の合計金額になっています。グラフを見ると、2018年に支給額が落ち込んでいますが、退職金が年々減っている印象はありません。

ただし、さらに古いデータを見てみると、1999年に定年退職した国家公務員の退職手当は、2658万円ですから、そこから比べると、確かに公務員の退職手当の支給額もおよそ20年で500万円ほど減ったと言えるでしょう。