一般社団法人内外情勢調査会が、5月19日、植田和男日本銀行総裁を招いて行われた講演会、「金融政策の基本的な考え方と経済・物価情勢の今後の展望」の全文が、日本銀行のホームページに掲載されています。
日本銀行はご存じのように、日本の中央銀行です。そのトップである日銀総裁が講演で話した内容は、日本の中央銀行を代表する見解であるのと同時に、日本の金融政策の方向性を把握するうえで、極めて重要だと言えます。
日銀の主な業務
日銀はさまざまな業務を行っています。これは日銀のホームページにも書かれているので、詳しく知りたい方はそれをご覧いただければ良いかと思いますが、簡単に言うと、
(1)銀行券(お札)の発行・流通・管理
(2)金融機関間の資金決済を行うシステムの提供
(3)金融政策の運営
(4)金融システムの安定化をはかる
(5)国庫金の出納や計理、政府預金の管理など
(6)外国為替の売買など国際業務
といったところであり、いずれも重要な業務です。中でもマーケット関係者からの注目度が高いのは(3)の金融政策の運営です。
金融政策の運営は日銀の専管事項、つまり日銀にしか行うことのできない事柄であるため、たとえ総理大臣といえども、日銀の金融政策運営には一切口を挟めません。それだけ、日銀総裁は金融政策について強大な権限を持っており、それゆえに日銀総裁がさまざまな講演の場で何を話すのかに高い関心が寄せられるのです。
金融政策がもたらす影響
ところで植田日銀総裁は、東京大学で教授を務めていた学者です(現在は名誉教授)。戦後、学者出身の日銀総裁が誕生したのは今回が初めてですが、植田総裁は1998年から2005年までの7年にわたり、日銀政策委員会審議委員を務めているので、金融政策に対する知見は高いと見られています。
その植田総裁が、内外情勢調査会で何を話したのか。日銀の金融政策によって決定される金利や、世の中に流通するお金の総量は、私たちの日常生活にも多くの影響を及ぼします。
それだけに、マーケット関係者以外の人たちも、日銀総裁がさまざまな場で語る話の内容には、少しでも関心を持っておくと良いのではないでしょうか。