資産所得倍増プランを悪用する詐欺に要注意!

これからの日本で当時と同じ経済成長が実現できるかというと、ほぼ不可能です。1番の理由は、人口が減少傾向をたどっているからです。

GNPやGDPのようなフローの所得を大きく伸ばすためには、消費が盛り上げるためにとりもなおさず人口を増やす必要があります。しかし、これから人口を増加させるのが難しいことは、当然岸田内閣も十分に理解しているでしょう。

では、それ以外に私たちの所得を増やす方法はないのかと言えば、実は1つだけあるのです。それは、今までの蓄えを活用してそこから富を生み出すことです。

日本人は一所懸命に働いた結果、不動産をはじめとする実物資産や、預貯金、有価証券などの金融資産という形で資産形成してきました。この資産を有効活用すれば、新たな富を生み出すことが可能になります。

これが、岸田内閣が言うところの資産所得倍増プランの骨子です。フローの所得倍増が不可能なら、これまで蓄積してきたストックから得られる所得を倍増させようという考え方で、悪いアイデアではないと思います。

もし国民の多くが投資に関心を持つようになり、個人金融資産の50%超を占める現金・預金から株式、投資信託、その他の投資商品に資金がシフトすれば、株価の上昇も期待できるようになりますし、その株価上昇に引き寄せられるようにして、さらに株式や投資信託などの投資商品を購入する比率が高まる可能性があります。

ただ、ここで注意したいのが、国民の資産形成や投資に対して国が首を突っ込んできた時は、その裏側で制度改正や政策変更の裏をかこうとする悪者が必ず一定数いるということです。まさに国民所得倍増計画の後に多発した財テク詐欺が、それにあたります。

特に昨今では、少子・超高齢社会の進展によって、若い世代の年金不安が高まっていますし、物価高でもなかなか上昇しない預貯金金利などを背景に、投資に対する関心が高まっています。その上、真偽不明のいかがわしい投資情報がインターネットを介して大量に流されている時代でもあります。

つまり、個人が犯罪に騙されやすい環境、諸条件が整ってしまっているのです。

これは詐欺全般に当てはまることですが、騙されたことが分かって裁判に訴えたとしても、払ってしまったお金はほとんど戻ってきません。騙されないために何よりも大事にすべき鉄則は、世の中にある詐欺の手口を知り、うまい儲け話があっても簡単に信じず疑う視点を持つことだと言えるでしょう。