ここにも「同調圧力」がある

では、なぜ多くの人は、「お金がない」と言って、やりたいことや欲しいものを手に入れようとしないのでしょう。

この理由は2つあると思っています。

まず1つは、「本当はそれほど欲しくない」からです。生活のレベルは人それぞれですから、欲しいものを手に入れるために普通に生活をしながら貯金をするという人もいますが、中には生活費だけで手一杯なので貯金する余裕がないという人もいるでしょう。

そんな場合、どうしても欲しければ、本業以外に何か別の収入の道を考えるとか、あるいは生活レベルを落としたり、極端な場合は一食抜いてでもその分のお金を回したりということをしてもよいはずです。

でもそれをしないということは、そのことやモノにそれほど大きな価値を見いだしていないからでしょう。だとすれば、それに対してはあまり無理をする必要はありません。

そしてもう1つの理由が、「同調圧力」だと思います。日本人は諸外国の人に比べて同調圧力が強いといわれています。昔の農村などでは、みんなと違うことをすると「村八分」にされたりすることがありました。

もちろん、現代ではそんなことはあり得ないのですが、仲間はずれにされたり、「あの人は変わっている」と思われたりすることを嫌がる気持ちは、多くの人が持っています。結果として、何につけても、相手からの申し出をどう断るかという理由を考えなければならないことが多くなってきます。

「○○を一緒にやりましょう」とか「○○は面白いよ!」と言われた時に、本当は欲しくないものややりたくないことでも、「そんなの興味ないよ」とか「そんなものいらないよ」と言ってしまうと、相手の好きなものを否定するようなニュアンスを与えてしまうのではないかと思うのです。したがって、それをむげに断ったのでは角が立つので、「お金がない」といってごまかしているのではないでしょうか。

つまり、「お金がない」というのは、断る理由としては一番無難、それだけなのです。

ごまかさずに、自分の意思にしたがうべき

人生の楽しみは、好きなことをしたり、欲しいものを手に入れて喜びを感じたりすることにあるといっていいでしょう。そして、その「楽しみ」は人それぞれ違いますし、違って当然です。

ですから、「お金がない」と言ってごまかさずに、それは自分にとって価値がない、別にやりたくも何ともない、ということを堂々と言えばよいのです。周りとの摩擦を避けるために、無難な言葉で逃げる必要はまったくありません。そして人が何と言おうが、やりたいことには堂々とお金を使えばいいのです。

人生の目的はお金持ちになることではなく、幸福になることなのですから、それが自分にとって幸福になることなら、遠慮することはありません。どんどんお金は使うべしです。

後編(「リア充アピールすれば他人がうらやむ」は妄想…本当に意味あるお金の使い道は)は、「やめた方がよいと思うお金の使い方」について解説します。

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