今注目の書籍の一部を公開して読みどころを紹介するシリーズ。今回は人生を豊かに生きるための具体的な「お金の使い方」について解説した大江英樹の『90歳までに使い切る お金の賢い減らし方』の一部を特別に公開します(本記事は後編)。著者本人が同書を解説する無料セミナー情報も!

前編:人が言う「お金がないから…」の言葉を真に受けてはいけない“これだけの理由”

※本記事は大江英樹著『90歳までに使い切る お金の賢い減らし方』(光文社)から一部を抜粋・再編集したものです。

「見栄」と「義理」にお金を使う時代

本章の(4)の1で、「世の中に無駄なものなど何もない」「無駄使いしたって一向にかまわない」と言いました。本人が価値を認めているものなら、どんなお金の使い方をしてもよいのですが、たった1つだけ、これはやめた方がよいと思う使い方があります。

それは「見栄」と「義理」にお金を使うことです。

ところが今の時代は、おそらくかつてないほど、この「見栄」と「義理」にお金を使う時代になってきたようです。

どうしてそうなってしまったのか、そしてそのどこがよくないのかについて考えてみたいと思います。

リア充ぶりをアピールして何になる

年輩の人だと、「リア充」といわれても何のことかわからないかもしれません。これはブログやSNSのようなオンライン空間での活動ではなく、現実(リアル)の生活が充実している人を指すネットスラングのことです。もともとはネットのコミュニティである「2ちゃんねる」(現「5ちゃんねる」)で使われ始めた言葉で、当初はネットコミュニティに集まる人たちが、ネットでのコミュニケーションは活発にしていても現実の生活があまり充実していないことを自虐的に表現するための言葉として使われていました。

最近では、主に写真や動画を活用したインスタグラムやフェイスブック、あるいはTikTokといったSNS上で投稿するネタとして、いろいろなところに旅行に行ったり、お洒落なカフェでアフタヌーンティーを愉しんだりしている光景を、写真や動画で撮影する人が増えています。「インスタ映え」といわれるような写真をたくさん投稿する、あるいはインスタ映えする写真を撮るために珍しいところへ行ったり、美味しそうなものを食べたりするという行動はよく見かけます。

これはつまり、旅行やカフェで過ごす自分を紹介することで、「自分はこんなに充実した生活を送っているのだ」というリア充ぶりをアピールするためにお金を使っていることに他なりません。

特に最近は、昔と違って、誰もがSNSを使うようになったために、自分で世の中の人に向けて情報発信することが容易になってきたというのも、この傾向に拍車をかけているようです。

もちろん、本人がそれで満足しているのであれば、そういうお金の使い方をしてもかまわないわけですが、それはつまり、他人に自分をうらやましがらせるためにお金を使っているということであり、あまり意味のない使い方なのではないでしょうか。フェイスブックでいくらたくさん「いいね」が付いても、投稿を見ている人のホンネはわからないからです。

うらやましがられていると思うのはその人の勝手ですが、実際には妬まれていたり、「こんなチャラチャラした投稿をして、ばかじゃないか」と思われていたりするかもしれません。「どうだ、こんな美味しいものを食べているんだぞ、すごいだろう!」といわんばかりにリア充ぶりをアピールするというのは、厳しい言い方をすれば、投稿している人の妄想にすぎません。だったらそんな妄想のためにお金を使うのはあまり意味がないと思います。