テスラの時価総額が世界最大の理由
低迷するGMとは対照的に、アメリカのEV(電気自動車)大手「テスラ」は快走が続いています。2020年7月には時価総額が2072億ドルに到達し、トヨタ自動車(同2071億ドル)を抜いて世界の自動車メーカーで最大となりました。差はさらに拡大しており、テスラは約5130億ドルまで時価総額を増やしていますが、トヨタ自動車は2230億ドルほどにとどまっています(2023年5月1日終値)。
株式はどのような値動きを見せたのでしょうか。テスラ株式は2020年ごろから顕著に上昇し始め、高値からは下落したものの2018年末比でおよそ7.4倍の水準に位置しています(2023年4月末時点)。対してトヨタ自動車株式はほぼ横ばいで、値上がりはほとんど観察できません。
【テスラとトヨタ自動車の株価(月足終値 2018年末=100)】
このように市場の期待がより注がれているのはテスラですが、実は自動車販売台数はトヨタ自動車が圧倒しています。2022年の販売台数を比較すると、トヨタ自動車は1048万台で世界首位となった一方、テスラは131万台にすぎません。なぜ販売台数で劣るテスラの方が投資家を引き付けているのでしょうか。
1つは利益率の差が挙げられます。直近の営業利益率を比較すると、トヨタ自動車が10%を割り込む一方、テスラは約17%にもなりました。これはテスラの方が効率よく利益を得ていることを表しています。株主資本に対する利益率を示すROEも、トヨタ自動車はテスラの3分の1ほどしかありません。
【営業利益率とROEの比較】
出所:日本経済新聞
市場のEVに対する期待の強さも関係しているでしょう。テスラの自動車販売台数は決して多くありませんが、EVに限れば世界首位です。トヨタ自動車はEVへの進出が遅れており、世界シェアは0.3%ほどだとみられています。EVへの取り組みの差が、株価の明暗を分けたのかもしれません。