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2012年5月22日、「神戸市住宅供給公社」が民事再生法の適用を申請し経営破綻しました。阪神大震災の復興で借り上げた特定優良賃貸事業の損失などで財務が悪化したことが原因だとみられています。破綻時の負債総額は約503億円で、うち約32億円は神戸市からの借入金でした。

相次いで破綻した「地方住宅供給公社」とは

地方住宅供給公社は、地方自治体などに設立された住宅の販売や賃貸などを行う法人です。もともと1950年に「住宅金融公庫」が設立されたことに伴い、その融資で賃貸住宅を建設・管理していました。その後1965年に「地方住宅供給公社法」が施行され、賃貸だけでなく住宅や宅地の販売も手掛けるようになります。

住宅が不足していた高度経済成長期では、公社の役割は大きいものでした。しかしバブル崩壊や民間デベロッパーの台頭などを受け、公社は破綻が相次ぐようになります。

【経営破綻した地方住宅供給公社の負債額】
・北海道住宅供給公社(2003年6月):約1251億円(うち公庫:約236億円)
・長崎県住宅供給公社(2004年1月):約308億円(うち公庫:約53億円)
・千葉県住宅供給公社(2004年2月):約928億円(うち公庫:約154億円)

出所:総務省 決算検査報告(平成15年度)

破綻が相次いだ理由として、公社の分譲事業が伸び悩んだことが挙げられます。会計検査院が27公社を調査したところ、2002年度末時点で公社が販売する分譲住宅の相当数が売れ残っていたことが明らかになりました。

背景には、住宅の市場価格が下落し、相対的に公社が販売する住宅が割高になってしまったことがあります。公社の多くは住宅建設のために融資を受けていたため、売れ残りが生じることで資金繰りが悪化しました。

さらに地価の下落や住宅の保有期間が長期化したため、分譲事業の資産評価額も悪化しました。このため一部の公社では評価損の計上を強いられます。会計検査院が調査した27公社のうち、2002年度では12公社で約1035億円、14公社で約683億円の評価損を計上しています。これらの要因から多くの公社で財務が悪化し、連鎖的に経営破綻が起こってしまいました。