株式の長期投資は「プラスサムゲーム」
「プラスサムゲーム」では、参加者が分け合う金額の合計に対して、ゲーム中に何らかのお金が足されます。その結果、参加者全員の損得の合計がプラスになります。言い換えれば、プラスサムゲームではゲーム中に、参加者が分け合う金額が「成長」します。
株式の短期売買がマイナスサムゲームだったのに対して、長期投資は明らかにプラスサムゲームです。
利益をあげるためにそれぞれの会社の経営者や社員はがんばっています。なかでも上場企業は、もうける力がなくなると上場廃止になるので、長い間では利益をあげられる会社だけが残っていきます。
安定して利益をあげられる会社は、資金の余裕を使って会社の規模を拡大し、よりもうけられるようになっていくでしょう。年々もうける力が大きくなる会社の株は、多くの投資家が保有したいと考えるので、買い手がどんどんついて株価が上がっていくのです。
ただし、ここで問題が1つあります。上場企業全体では、長い間ではもうける力のある企業が残って全体的に株価が上がり、株式市場の時価総額が大きくなっていきます。なので、参加者の損得を足すとプラスになる、プラスサムゲーム(下図)になるわけです。
しかし個々の企業への投資では、もうける力が落ちていく企業に長く投資していてももうかりません。そして、もうける力を上げていく成長企業を事前に見抜くことができるかどうかは、「安く買って高く売る」ことと同じように、自分がうまいかどうかはわかりません。少数の株式にだけ投資していては、長期投資のプラスサムゲームという特徴を活かしにくいのです。
大事なのは、多くの企業を同時に保有する「分散投資」を行なって、なるべく株式市場のプラスサムゲームに乗っかっていくことです。