「マイナスサムゲーム」はギャンブルと同じ

先ほど、株式の短期売買はマイナスサムゲームで、トランプゲームやギャンブルと何も変わらないというお話をしました。あなたは、ギャンブルというと何を思い浮かべるでしょうか?

海外には「カジノ」という施設があります。そこではルーレットやスロットマシン、トランプゲームなど、お金をかけて勝てば増える、負ければ取られるというギャンブルが楽しめるので、世界中からお客がやってきます。日本国内でも、競馬や競輪、競艇、パチンコ、宝くじなどのギャンブルがさかんです。

これらのギャンブルには1つ、共通の特徴があります。長くやればやるだけ、損をすることが決まっているということです。

なぜ損をするのでしょうか。これは、参加者がかけたお金をそのまま参加者全員で分け合うのではなく、ギャンブルを運営している人がかなりのお金を取ってしまうからです。運営の取り分を引いた金額を参加者が分け合うのですから、よほどそのゲームがうまくない限り、やればやるほど損をするのは当然だと言えるでしょう。これこそがマイナスサムゲームの特徴です。

たとえば、競馬では1レースごとに、馬券が売れた合計金額から、運営しているJRA(日本中央競馬会)が25%を差し引きます。参加者1万人が合計で1億円をかけたとすると、JRAが25%を差し引いた7,500万円を、馬券を当てた人が分け合うことになります。これでは天才馬券師でもない限り、競馬でもうけることはむずかしいということがわかるでしょう。

ほかのギャンブルでも、運営の取り分の割合は違ってもしくみは同じです。パチンコではおよそ7〜10%、宝くじはなんと販売金額の半分以上が運営の取り分です。

ここでふれたようなギャンブルをするのは悪いことではありませんが、使う金額は、くれぐれも「楽しみを提供してくれた料金」だと納得できる程度にとどめておきましょう。ギャンブルで長期的にお金を増やしていくことはほぼほぼ不可能で、ほとんどがお金を使い続けるだけだと考えてください。

●第4回(経済と投資は別物! 「米国スゴイ、日本ダメ」を鵜呑みにしてはいけない本当の理由)では、株式とギャンブル、似て非なるものとされる2つの共通点について解説します。

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