株式の短期売買は「ゼロサムゲーム」
付け加えて言うと、「安く買って高く売る」短期売買と、「200年の右肩上がりを信じて投資する」長期投資では、行なっている「ゲームの種類」が違います。この先は少しむずかしくなりますが、できるだけわかりやすく説明していきます!
株式の短期売買は、株式市場に上場されているすべての株式の価値(時価総額)を参加者で分け合うゲームだと考えることができます。時価総額とは、発行された株式の数(株数)に株価をかけた金額で、その時点での会社の価値を表します。
短期売買ゲームの参加者は、他の参加者から株式を安く買って、また別の参加者に高く売りつけようとします。成功すると短期売買で得をすることになります。
ここで重要なのは、基本的に、ごく短い期間では株式市場の時価総額は変わらないことです。取引できる金額の合計が変わらないので、誰かの得は必ず別の誰かの損によって発生しているということになります。
このように、参加者全員の損得の合計がゼロになるゲームのことを「ゼロサムゲーム」(上図)といいます。サム(sum)は英語で「合計」の意味です。
ゼロサムゲームは、平均より少しでも「うまい」人は、やればやるほどもうかります。反対に「へたな」人は、やればやるほど損がふくらんでいきます。
そして、自分が株式短期売買ゲームがうまいかどうかはだれにもわかりません。自分がうまいと思うのは勝手ですが、その「うまさ」は「かけっこの速さ」のように計れるものではないので、本当はへたかもしれません。自分がうまいかどうかがわからない以上、ゼロサムゲームである株式短期売買は、もうけを期待できるものではないという理屈が、わかってもらえたでしょうか。