「世間における知名度」は高いに越したことはない。知名度が高いのは、それだけ一般的な評価が確立しているということなので、品質の面で懸念されるような要件が少ないことを示しているといえよう。

ところが22年は「株安」、かつ、「債券安」であり、しかも、「先進国」も「新興国」も、「大型株」も「中小型株」も、「グロース株」も「バリュー株」も総じて悪いという「逃げ場のない相場」だった。知名度のある大手の運用会社も含めて、どの運用会社の商品も総じて成績が振るわなかった。それだけに、改めて「信頼」というベーシックな価値に立ち戻ることを余儀なくされた1年になったということだろう。

「こだわりの運用」「長期の実績」にも評価の芽

一方、「特長や運用哲学を良く理解している」という項目は、21年の段階でIFAが65.8%という非常に高いポイントで評価し、22年も57.9%と弱含み横ばいながら、他の業態よりも高く評価している。資産運用アドバイスの専門家として既存の銀行や証券会社から独立して営業しているIFAだけに、「こだわりの運用会社・運用商品」があるという自負が感じられる。この項目については、その他の業態においても評価ポイントが高くなっている傾向にある。「自分たちが良く理解している優れた運用会社だからこそ顧客にも勧めたい」ということは、今後、資産運用がより一般に普及していく中で重要度を増していくことになると考えられる。

また、今回新たに設けられた「歴史がある」という評価項目は、IFAだけは50.9%と比較的高いポイントになったが、その他の販売会社では30%前後の回答率で、さほど重要視していない。「歴史がある」という項目は、それだけ「市場の荒波にもまれて生き残ってきた」という勲章のような価値と考えられるが、それ以上に「運用成績が大事」ということが評価の低さになったのだろう。特に、22年のように運用が厳しい環境にあってはなおのこと運用成績を重視することになったと考えられる。

ただ、「つみたてNISA」をきっかけに投資を始めた若い層を中心に、30年、40年という長期投資が志向されている。その長期投資には歴史がある運用会社の長期の運用記録が重要になる。今後、この項目への評価がどのような推移になるのか見守っていきたい。