その「高配当」は持続するのか――
恐らくこの配当利回りを見て、「それなら商船三井の株式を直接購入した方が良いのでは」と思った方もいらっしゃると思います。ただ、問題はこの高配当がいつまでも続くかどうかという点です。
同社のここ数年の配当金推移をさかのぼると、
2023年3月期・・・・・・560円(予想)
2022年3月期・・・・・・400円
2021年3月期・・・・・・50円
2020年3月期・・・・・・21.67円
2019年3月期・・・・・・15円
2018年3月期・・・・・・6.67円
というように推移してきました。
このように決算をさかのぼってみると、3桁の高配当を出したのは2023年3月期と2022年3月期のみです。
では、どうしてこれだけの高配当が実現したのかというと、一種のバブルが生じたからです。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で物流がひっ迫したことにより、船賃が大幅に値上がりしたのです。
外国航路海運における船舶の賃貸借料金をインデックス化した「バルチック・ドライ指数」の推移を見ると、2020年5月時点では500ポイント前後だったのが、2021年10月には5526ポイントまで上昇しています。
ざっと計算して、船賃が約10倍にもなったのです。このバブルともいうべき船賃の上昇を受けて、海運会社の業績が上振れした背景から、配当金が大幅に増配されました。したがって、もし商船三井の株式を配当利回り目的で投資するならば、この配当金額が持続的かどうかという点を考慮する必要があります。
まず船賃ですが、前出のバルチック・ドライ指数は低下傾向をたどり、2023年2月22日時点で674ポイントまで低下しています。つまり一時期の船賃バブルは終わったと見て良いでしょう。そうなると、気になるのが商船三井の今後の業績です。