新NISAの「枠が再利用できる」便利さに潜む懸念点

さらに新NISAに対するもう1つの危惧は、生涯最大投資額の設定と相まって、貯めてきた資産をいったん引き出せば(例えば住宅取得資金が考えられます)、その枠が再度利用できるという便利さです。

もちろんこの便利さは喜ばしいことかもしれませんが、このあたりも金融リテラシーでの教育課題でしょう。いったん引き出せば長期投資が“リセット”されてしまうという意味で、できる限り老後資金は手をつけずに運用するのがベストです。アメリカのIRAも住宅取得や子ども教育などに引き出すことができる特例がありますが、できる限りこれは行わないことをお勧めしています。その代わり、住宅や教育資金は別途それぞれの目的に、それぞれの利用時期に合わせた短中期的運用法をお勧めしています。

もしかしたら、新NISAの中で短中期的運用部分と長期的運用部分で分けて運用する必要もあるかもしれません。それぞれにとれるリスク、持つべきファンドなども変わってくると思います。

この枠の再利用とあいまって、新NISA内の「成長投資枠」での個別株投資や、数年スパンで利益確定をして積極的に再投資する手法について言及している記事も読みましたが、ともするとこれらは長期投資というよりは短期的・投機的なものになりえる危険性をはらんでいます。

枠組みが与えられたら、それを自分のニーズに照らし合わせてどう使うか。この判断ができるよう投資やファイナンシャルプラニングについての、地に足の着いた教育が必要だと思いました。