インフレ環境下のアメリカでは「値段は上がって当然」。値上げも“さらっと”行われる

私はファイナンシャルプランナーとして働いていますが、そのプラニング料金を2021年末に値上げしました。パーセンテージにして時間あたり6.7%の値上げです。ここ数年以上据え置きの料金でしたし、ここのところ使っているソフトウエア、サービス、ライセンス料などの値上げもあり、思い切って踏み切りました。別に悪いことをしているわけでもないのに、値上げするときはなんとなく申し訳ない、おこがましいような気持ちもあるもので、お客様に対しどう値上げを説明しようか……などと思い悩んだりもするものです。

とりあえず、公示情報をすべて新しい値段に書き換えてみたところ、私が心配したようなお客様からの反応はなんらなく、案件が減るわけでもなく「あぁ取り越し苦労だった」と思ったものです。そう思って周りを見回してみれば、今アメリカはものすごいインフレ環境にあります。なんでも値が上がって当然というコンセンサスみたいなものがあり、値上げに対して日本人ほどネガティブな意識はないのかもしれません。

ちなみに、アメリカの値上げは“さらっと”行われます。日本のように、「昨今、原材料価格、物流コストや海外での人件費の上昇が続いています。全社をあげて、生産性の向上や合理化による経費の削減などにより、価格の維持に取り組んできましたが、企業努力だけでは製品価格を維持することが困難な状況となりました。つきましては、〇〇の値段の改定をさせていただきます。お客様におかれましては、何卒これらの諸事情をご賢察いただき、ご理解いただきますようお願い申し上げます」みたいな通知はふつうありません。「来月より、△△ドルに値段が変更になります」だけです。コストが上がったんだから値段も上がる…… “そういうもの”という捉え方です。

先日、家族4人で近くのラーメン屋さんに行きました。ラーメン4杯、餃子2皿、ビール1本で$92.53(1万660円)でした。急激な値上がりを感じます。ファンシーな(おしゃれな)レストランならまだしも、ラーメン屋。コロナの前なら、半額とは言わなくとも、この6~7割くらいの値段だったと思います。アメリカの場合は、これにチップを払います。レストランで働く人々にとっては、このチップもれっきとした賃金の一部として期待する部分であり、またサービスに対してお金を払うというカルチャーが根付いているアメリカでは、大きな不満や文句がない限りチップを置いて帰ります。そのチップも値上がりしていて、しばらく前までは飲食料の15%が平均値だったのが、じりじりと20%まで上がってきています。しかも、このコロナ下。そんな中でも働いてくれる人々に感謝を表したいからチップは寛容にするという人も多いです。結局、ラーメン屋さんではチップも入れてトータル約1万3,000円。インフレをひしひしと感じます。