異例の引き上げ!? 許容幅の変動を容認した日銀の思惑

2022年12月20日の金融政策決定会合で、日銀はイールドカーブ・コントロールの長期金利の許容幅をプラスマイナス0.25%から、0.5%に引き上げると決定した。

許容幅とは長期金利について、目標水準であるゼロ%からのかい離をどこまで容認するかという値である。

過去にも変動幅は変更されており、2018年7月には当初の0.1%から0.2%へ、2021年3月には0.25%となったが、増加幅は0.1〜0.05ポイントとわずかにとどまった。今回の0.25ポイント引き上げは日銀として異例ともいえる。

日銀はこれまで利上げに対し、強固な反対姿勢を取ってきた。

コロナ禍による物価高騰を受けた各国の中央銀行が、インフレ対策として利上げを行うなかでも日銀は金融緩和を続けた。さらに、日米の金利差が円安を招いたという指摘にも「金利差だけに注目して物価動向を説明するのは一面的」と金融引き締めの必要性を否定してきた。

黒田総裁は金融緩和政策の一部修正発表について、国債のボラリティ改善が目的であって「利上げではない」と発言している。とはいえ、市況が一時、低金利時代の終わりを予感して湧き上がったのは事実だ。

しかし、結局日銀は2023年1月18日、追加の修正策を実施しないことを決断。本格的な金融緩和の終了はまだ先となる見通しだ。