銅に歴史あり! 世界最古の金属製品は銅製
富本銭は銅を由来とする素材で作られていました。銅は加工しやすく、また腐食しにくい金属として知られます。古代の技術でも比較的容易に形を作り変えることができたと考えられ、富本銭のほか、さまざまな銅製品が世界中の遺跡で見つかっています。
日本伸銅協会によれば、紀元前5000年ごろの墓から銅製品が見つかったほか、紀元前3800年ごろには銅鉱石が採掘されたことを示す記録なども発見されました。これらから、銅は人類が最初に使った金属といわれています。
ちなみに、現在でも硬貨の主な材料は銅です。1円玉以外の全てに銅が用いられており、割合が最も大きい10円玉は95%が、最も小さい5円玉でも60~70%は銅で構成されています(1円玉はアルミニウム100%)。
銅はお金以外にも多くの製品に用いられており、電子機器や日用品、工芸品など、その用途は枚挙にいとまがありません。銅がどのような製品に使われているのか、統計で追ってみましょう。
経済産業省の「非鉄金属等受給動態統計(令和2年版)」によれば、国内では銅のほとんどが「電線」または「伸銅品」として出荷されています。従って、電線と伸銅品の出荷先を見れば、銅がどのような製品に用いられているか知ることができそうです。
【銅の品目別需要(2019年、「電気銅」および「銅の故またはくず」の合計)】
銅電線は日本電線工業会、伸銅品は日本伸銅協会の資料を用い、それぞれの出荷先を以下にまとめました。どちらも建設や電気機械、自動車といった幅広い業種で使われていることが分かります。
【銅電線の出荷内訳(2019年)】
【伸銅品の出荷内訳(2019年)】
銅電線や伸銅品のどちらも自動車(輸送用機器)向けの出荷が多く占めていますが、今後はさらに増えるかもしれません。自動車業界はガソリン車から電気自動車へのシフトが進んでおり、銅の使用量が増加すると考えられているためです。