・国内有数の大企業が詐欺師に55億円をだまし取られる失態…一体なぜ

1月は大手カレーチェーン「カレーハウスCoCo壱番屋」の創業月です。1978年に愛知県で1号店がオープンし、現在では国内外に1461店舗を持つビッグチェーンへと成長しました(2022年2月時点)。

しかし今から7年前、壱番屋は記念すべき創業月にある事件に巻き込まれてしまいます。

産廃業者が廃棄カツを違法に転売

2016年1月13日、壱番屋の廃棄カツが違法に販売される事件が発覚しました。当該冷凍カツは、異物の混入が懸念されたため、壱番屋が廃棄を委託していたものでした。壱番屋の従業員が岐阜県内のスーパーで販売されていることを発見し、事件が明るみに出ます。

事件を主導したのは、壱番屋から廃棄を請け負っていた産業廃棄物処理業者「ダイコー」です。ダイコーは冷凍カツについて、壱番屋には処分したと虚偽の説明をして委託料をだまし取りつつ、違法に転売していました。転売された冷凍カツは約2万3000枚に上り、その多くが消費者に販売されたとみられています。

同年7月、ダイコーの経営者は、転売に関わった他2人と一緒に逮捕されました。3人は詐欺罪などで起訴され、いずれも有罪が確定しています。また壱番屋はダイコーの経営者に対して約2000万円の損害賠償を請求し、裁判所は全額の支払いを命じました。

事件は消費者の信頼を大きく損なうものでしたが、壱番屋は反対に支持を集めたようです。同社は事件の発覚後すぐに警察へ通報し、世間への公表と注意喚起を行っていました。事件の6日後には再発防止策も取りまとめています。迅速で誠実な対応が、今日の壱番屋の人気に一役買ったことは間違いないでしょう。

【壱番屋の業績】

※2023年2月期(予想)は、第2四半期時点における同社の予想

出所:壱番屋 決算短信より

【壱番屋の株価】

Investing.comより著者作成

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