松村さん(仮名、70代男性)はある程度まとまった資産があるため、自分の死後発生する相続税のことが気になっていました。そんなときに「富裕層は養子縁組によって節税する」という情報を知ります。

詳しく調べると、「養子縁組によって法定相続人を増やすことで基礎控除枠を増やせる」とのこと。松村さんには3人の実子(長男、次男、長女)がいますが、長男の子ども2人(松村さんにとっての孫)を養子にし、相続人が5人になるようにしました。

ところが、松村さんが亡くなり、子どもたちが税理士に相談に行って相続税を計算すると、松村さんの考えていたこととは全く違う事実が判明したのです……。

●こんなに減る!?「相続税の節税」の仕組み
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養子縁組で節税できる人数には限度がある

松村さんは「養子縁組したら、人数分の基礎控除を受けられる」と考えていたのですが、実際にはそうではありません。基礎控除が適用される養子の人数には制限があり、以下が限度になります。

・実子がいない場合には2人
・実子がいる場合には1人

つまり子どものいる方の場合、孫を養子に入れて節税できるのは「孫1人まで」です。ところが松村さんの場合、孫を2人養子にしてしまいました。松村さんは1200万円分基礎控除を増やしたつもりでしたが、実際には600万円分の基礎控除枠しか増えなかったのです。