他にもある! 大企業が詐欺師にだまされた事件

積水ハウスの地面師事件は、大企業がだまされたというインパクトから大きく報道されることになりました。しかし、意外にも大企業が詐欺師にだまされるケースは少なくありません。

Q&Aサイトの運営などを行うオウケイウェイブは2022年4月、運用を一任していた投資会社「Raging Bull合同会社」(以下Raging社)が破綻し、運用資金約50億円が回収できない状況となっていると発表しました。

しかも、Raging社には運用の実態がなく、オウケイウェイブが預けた資金が他の投資者に払い出されていることが発覚します。これは典型的な詐欺である「ポンジスキーム」という手口であり、オウケイウェイブが巨額の投資被害に遭ったことが判明しました。

第三者委員会の調査によると、オウケイウェイブはRaging社に4回にわたって計106億円もの金額を投資しています。3回目までの取引は2021年末で終了しているため、ここで資金を引き上げればよかったのですが、2022年1月4日にはすぐに39億円を超える金額を投資しており、翌月にはさらに5億円を追加投資しました。残念ながら、その大部分が回収できない事態に陥りました。

また近年は「ビジネスメール詐欺」(BEC:Business E-mail Compromise)という、“企業版振り込め詐欺”とでも言うべき手口が流行しています。取引先や経営者などになりすまし、金銭の振り込みを指示した電子メールを送り付けるものです。ビジネスメール詐欺は海外での被害が拡大しており、情報処理推進機構によるとアメリカにおける被害額は2021年までの6年間で9.7倍以上となりました。

【ビジネスメール詐欺の被害額(米国)】

情報処理推進機構「ビジネスメール詐欺(BEC)の特徴と対策」より著者作成

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ビジネスメール詐欺は国内においても無縁ではありません。日本航空は2017年12月、ビジネスメール詐欺の被害に遭い約3.8億円をだまし取られました。また日経コンピュータが2018年2月に国内上場企業50社を調査したところ、2017年1月以降に2社がビジネスメール詐欺の被害に遭い、1社は100万〜1000万円、もう1社は1000万〜1億円を実際に振り込んだそうです。

JPCERTコーディネーションセンターの「ビジネスメール詐欺の実態調査報告書(2020年3月)」によると、国内においてもビジネスメール詐欺の手口を利用して約24億円の不正な請求がありました。多くは被害を回避できたようですが、中には数百万円~数千万円を振り込んでしまったケースもあったようです。

執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。