・政財界に激震、政治家90人が大規模贈収賄に関与…国民の信用は失墜

今から16年前、「ミルキー」や「カントリーマアム」で知られる不二家は、経営を揺るがしかねない不祥事が発覚します。全店が休業に追い込まれ、同社は大手パンメーカーに買収されることになりました。

明治から続く名門お菓子メーカーに何が起こったのでしょうか。

老舗お菓子メーカーが裏切った信頼の代償

不二家の不祥事が発覚したのは2007年1月10日のことです。不二家の埼玉工場において、消費期限が切れた牛乳を使っていたことが報道されました。消費期限切れの牛乳は2006年10~11月の間、約1万6000個ものシュークリームに用いられました。商品は主に関東に出荷され、多くの人が口にしたと考えられます。

不二家に大きな批判が集まった理由は、事実を知りながら公表しなかった点です。不二家が公表した「信頼回復対策会議最終報告書」によると、経営陣は消費期限切れの牛乳が使われていた事実を、2006年11月13日時点で外部のコンサルタント会社から指摘されていました。

しかし、不祥事が明るみに出ることを恐れた経営陣は事実の隠蔽を図ります。結果的にこの不誠実な対応が世間の怒りを大いに買い、報道の翌日から全店休業に追い込まれてしまいました。不二家は株式を持ち合う関係にあった森永製菓に資本協力を求めますが、出資は得られませんでした。

経営危機に陥った不二家ですが、救世主が現れます。2007年2月、大手パンメーカーの山崎製パンが資本支援を表明したのです。翌月に不二家は山崎製パンと業務資本提携を締結し、事件以来停止していた生産と販売を再開することができました。

2008年11月には第三者割当(※)にて山崎製パンの出資比率が上昇し、現在まで同社の子会社となっています。一方、森永製菓との株式持ち合いは解消されることになりました。

※第三者割当:第三者から出資を受け、その対価として株式を割り当てる資金調達

【不二家の株価(2007~2008年)】

Investing.comより著者作成

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【不二家と山崎製パンの業績】

※2022年12月期(予想)は第3四半期時点における同社の予想
※不二家と山崎製パンは2022年12月期より「収益認識に関する会計基準」を適用している

出所:各社の決算短信より