10代から投資を始める必要はある?
18歳や19歳は、一般にまだ収入が少なく、家計に余裕がある人は少ないと思われます。高校生や大学生で、働いていないという人も多いでしょう。制度上利用できるからといって、18歳や19歳の人がNISAを始める必要はあるのでしょうか。
端的に言えば、10代の内から投資を始める必要はありません。というより、年代に限らず投資が必要という人はいないでしょう。投資はお金を増やす方法の1つにすぎず、必ず行うべきものとは言い難いためです。給与などで生涯のお金を全て賄える人は、預貯金だけでも十分暮らすことができます。
むしろ、損失の可能性がある投資は人を選びます。投資は、確かに預貯金などよりお金が増える可能性がありますが、反対に減る可能性もあるのです。これらを踏まえれば、10代も含め、無理に投資を始める必要はありません。
ただし、若いときから投資を始めるメリットはあります。運用期間を長く取ることで複利効果が働き、同じ利回りでもお金をより増やすことができるでしょう。
例えば18歳から投資し、利回り3%で60歳まで運用した場合、投資額は約3.46倍になります。246%増えるわけですから、単純平均すると1年あたり5.86%増えることになります。
対して、同じく利回り3%の商品で30歳から60歳まで運用するケースでは、1年あたりの単純平均利回りは4.76%にとどまります。同じ利回りの商品に投資したはずが、運用期間の長短で1年あたりの利益に1%以上の差が生じました。
【一括投資シミュレーション(利回り3%で60歳まで運用する場合)】
この傾向は積立投資でも同様です。一括投資ほどの差は生じませんが、積立投資においても単純平均利回りは運用期間が短くなるほど低下します。
【積立投資シミュレーション(利回り3%で60歳まで運用する場合)】
このように、複利効果を考えればできるだけ早く投資を始めることは理にかなっています。しかし、やはり投資にはリスクがあるため、必ず利益を得られるわけではありません。また上記のシミュレーションは毎年3%で試算されていますが、実際の損益は毎年異なります。運用期間の長さが利益率の改善につながらないこともあるでしょう。
いずれにせよ、投資を始める際は慎重に判断するようおすすめします。