なぜコロナ禍で売上高が過去最高?
社長暗殺という大事件がありましたが、王将フードサービスはこれまで順調に成長し、現在では734店舗を展開するビッグチェーンとなりました(2022年3月末時点)。
その強さはコロナ禍でも発揮されます。王将フードサービスは2020年10月、同月としては過去最高の売上高を達成しました。当時は新型コロナウイルスの感染者が増え始めていた時期で、多くの飲食店が打撃を受けている中での記録でした。
【新型コロナウイルス新規陽性者数(2020年)】
王将フードサービスは、なぜコロナ禍でも好調だったのでしょうか。理由は、テイクアウトやデリバリーなど、いわゆる「中食(なかしょく)」の強化に以前から取り組んでいたためだと考えられます。
中食とは、家庭外で調理された食品を購入し、自宅などで食べることをいいます。王将フードサービスは消費税の軽減税率適用を踏まえ、もともとテイクアウトやデリバリーを充実させていました。それがコロナ禍でも効果を発揮し、落ち込む店内売り上げをカバーしたと考えられます。
当時の月次売上高を詳しく見てみましょう。初めて緊急事態宣言が出された2020年4月、「店内」の売上高は前年同月の半分程度まで落ち込みますが、「テイクアウト・デリバリー」は、前年同月比で180%を超える大きな伸びとなりました。全体の売上高も、同年10月には早々に前年同月を回復しています。
【王将フードサービスの月次売上高(前年同月比)の内訳】
このように、王将フードサービスが取り組んだ中食の強化は、きっかけこそ消費増税対策だったものの、コロナ禍でも効果を発揮することになりました。その後も客足は順調に回復し、2022年5月には単月としても過去最高売上高を記録しています。
【王将フードサービス月次売上高】