「eMAXIS Slim」など低信託報酬率の投資信託が増加傾向に
信託報酬の安い投資信託といえば、インデックスファンドが最も有力といっても良いでしょう。特につみたてNISAの対象ファンドとなるインデックスファンドについては、信託報酬率の上限が法令で定められており、投資先を国内とする指定インデックス投信は年0.5%、投資先を内外・海外とする指定インデックス投信は年0.75%です。
現状、つみたてNISAの信託報酬率はかなり低率になってきています。金融庁が公表している「つみたてNISA対象商品の分類」をみて見るとその特徴が分かります。
それによると、投資先を国内とする指定インデックス投信の平均的な信託報酬率は、2017年10月時点で年0.264%だったのが、2022年9月時点では年0.255%まで、投資先を内外・海外とする指定インデックス投信は、2017年10月時点で年0.38%だったのが、2022年9月時点で年0.31%まで、それぞれ低下したということです。
信託報酬率(年率)の水準で本数を見ると、投資先を国内とする指定インデックス投信は、2022年9月時点で以下になります。ちなみにカッコ内の数字は2017年10月時点のものです。
0.4%超0.5%以下・・・・・・3本(1本)
0.3%超0.4%以下・・・・・・12本(9本)
0.2%超0.3%以下・・・・・・4本(1本)
0.1%超0.2%以下・・・・・・23本(16本)
次に、投資先を内外・海外とする指定インデックス投信は、
0.5%超0.6%以下・・・・・・11本(11本)
0.4%超0.5%以下・・・・・・38本(21本)
0.3%超0.4%以下・・・・・・20本(5本)
0.2%超0.3%以下・・・・・・25本(15本)
0.1%超0.2%以下・・・・・・36本(11本)
0%超0.1%以下・・・・・・・13本(0本)
これらの数字を見ても分かるように、明らかに信託報酬率の低いインデックスファンドの本数が増えています。ちなみに投資先を内外・海外とする指定インデックス投信の場合、投資先を国内とする指定インデックス投信に比べて低率な「0%超0.1%以下」の水準に13本もあります。
この極めて低い信託報酬率で人気を集めている代表的なインデックスファンドが、三菱UFJ国際投信が設定・運用している「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」です。2018年7月3日に設定された同ファンドの純資産総額は、2022年2月に1兆円を突破し、同年9月時点では1兆5000億円を超えました。
結果、同社が運用している投資信託の運用資産総額は、同年10月末で10兆7017億円になり、それまでトップだった野村アセットマネジメントの10兆5965億円を超えてトップになりました。三菱UFJ国際投信を日本最大の投資信託運用会社に押し上げた一番の功労者は、「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」といっても良いでしょう。