約50年の歴史のなかで、IRAは磨きをかけられてきた

タイプAは1974年に始まり、タイプBのほうは1998年に始まりました。年間の積立限度額が決まっていて、一人につき$6,500です(2022年)。タイプAとタイプBは毎年自由に選択でき、併用もでき、合計でこの限度額になります。労働収入がこの額より少ない場合は、労働収入を上限として積み立てられます。50歳以上だと$7,500までになります。限度額はインフレ率によって年々増額するのも特徴的かもしれません。主婦(夫)はたとえ本人の労働収入がなくとも、確定申告では夫婦合同で申告(アメリカでは、夫婦は合同申告が一般的です)している限りは、配偶者の労働収入をベースに限度額まで積み立てることができます。職場に利用できる401(k)があったり、収入が大きくなると、タイプAの所得税控除になる額やタイプBの積み立てられる額が少なくなるなどの“調整”がされます。

IRAには、これらと別にスモールビジネス(自営業者など)が使いやすい、少し限度額の大きいIRAのバリエーションもいくつか存在しています。歴史の中で、人々のニーズを見ながら新しいIRAのタイプが加えられてきました。

またIRAは、転職や離職の際の401(k)の集約口座としても使われます。職場を離れ、それまで加入していた401(k)を脱退する際、その残高をIRAに移してそこで投資を続けるわけです。こうすることで、転職を繰り返しても、あちこちにばらばらと401(k)が残らず、一カ所でまとめて投資運用することが可能になります。老後の資産を安定して増やしていくためには、長期的にかつ継続的に投資運用できるプラットフォームが不可欠です。

先に書いたように401(k)は限度額が大きいので、401(k)がある人はそれで充分でIRAを持っていない場合も多いです。反対に、401(k)がない人は、誰でも(労働収入さえあれば)開くことのできるIRAを優先的に利用しています。

2020年の調べ(国勢調査)では、15歳から64歳の勤労年齢者のうち、もっとも一般的に使われていた口座タイプは401(k)で34.6%が利用、18%がIRAとスモールビジネス向きプランを利用、13.5%が確定給付型などを保持しているという結果でした。年齢別にみると、なんらかのリタイヤメント口座を持っているのは、56~64歳で最も高く58.1%、40~55歳では56.1%、24~39歳では49.5%、15~23歳で7.7%という結果です。人種別にみると、白人で53.6%、アジア系46.8%、黒人36.8%、ヒスパニック系28.3%という数字でした。