デジタル時代の教育で身につけるべきものは「読解力」

では、どうすればいいのだろうか。新井氏は著書の中で「重要なのは中学卒業までに中学のどの科目の教科書も読むことができ、その内容がはっきりとイメージできるようなリアリティのある子どもに育てることです」と指摘している。イメージできるということは、AIが苦手としているクリエイティブとも重なる。それを中学卒業までに養っていくことが重要であるというのだ。

あえて触れるまでもなく、日本の「学歴社会」は続いている。幼稚園のお受験から始まり、エスカレーター式の一貫校を除けば小学校や中学、高校でそれぞれ入学試験を突破しなければならない。そして、学歴社会において最も重視される大学受験に挑戦することになる。だが、たとえ幼い時から関門を突破してきた強者であっても、「デジタル時代の勝者」となるために必要な読解力を身につけられているわけではない。いくら点数や通知表の評価がよくても、それとは別の尺度が必要になっているのだ。

文部科学省は中央教育審議会の答申に基づき、「実生活で生きてはたらき、各教科等の学習の基本となる国語の能力を身に付けること」を重視し、国語の授業改善を進めてきた。「考えを書く」「話し合う」といった活動は、生徒が自ら考えて課題を解決していくために必要なものだろう。英語の4技能教育やプログラミング教育など新しい分野でも試行錯誤は続く。

しかし、その改善スピードはOECDの学習到達度調査を持ち出すまでもなく、デジタル化の荒波を前に遅すぎると言わざるを得ない。ましてや、AIが得意とする分野で同じ土俵に乗ることは、人間だからこそ持てる想像や創造、コミュニケーション、非定型といった分野で力を伸ばせないことにつながる。

デジタル時代に生きるために教育で最も身につけるべきものは、読解力である。その重要性はデジタル化の加速と比例し、どんどん増している。

●「読解力」を鍛える思考法とは? 第3回へ続く>>

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