年下の配偶者に保険料の納付が必要となると知っておく

吉田さんが65歳になると、まだ50歳の奥様は第3号被保険者でなくなります。吉田さんが65歳以降も会社に勤務できた場合も、奥様は健康保険の扶養に入れるものの、年金については扶養に入れません。国民年金第3号被保険者は「国民年金第2号被保険者の被扶養配偶者」を指し、吉田さんが定年後に引き続き勤務して厚生年金被保険者となったとしても国民年金の第2号被保険者でなくなるためです。

 

第3号被保険者であった奥様は50歳から60歳まで第1号被保険者になり、50歳までと異なって国民年金保険料の納付が必要です。月額1万6590円(2022年度)ですので、10年間で200万円程度発生することになります。吉田さんに加給年金が長く加算される一方、奥様にこれだけの保険料の支出があると想定する必要があります。10年全く保険料を納付しないと、今度は奥様の老齢基礎年金が年間19万4450円(2022年度の額)減り、奥様の65歳以降の年金が不安になってしまいます。

年下の配偶者が60歳になるまで第3号被保険者(国民年金保険料納付なし)になることも可能な年齢差の小さいご夫婦と、大きく異なる点と言えます。

「妻1人の期間」が長くなることも想定して準備を

日本人の平均寿命は男性が81.47 年、女性が87.57 年※1となります。女性の方が長い平均寿命、さらに吉田さんご夫婦にある年齢差からも吉田さん亡き後、奥様はお一人になる期間が長くなる可能性があるでしょう。そのため、吉田さん亡き後の奥様の老後資金も気になるところ。吉田さん亡き後には、奥様には遺族厚生年金が支給されますが、他にさらに収入があると安心できるところでしょう。

※1 0歳時の平均余命。厚生労働省「令和3年簡易生命表」より

奥様が50歳から第1号被保険者として加入するのであれば月額400円の付加保険料も納め、付加年金(付加保険料1月納付につき年額200円の年金)を増やす方法もあります。10年で4万8000円(400円×120月)支払う保険料に対し、年額2万4000円(200円×120月)の付加年金が加わり、増えた額で生涯受給できます。

第3号被保険者から第1号被保険者になると奥様のiDeCoの掛金上限が月額2万3000円から6万8000円(※付加保険料を納付する場合は6万7000円)へ増えることになります。第3号被保険者の時よりも私的年金であるiDeCoを厚くする機会が増えるといえるでしょう。