日本の離婚件数は平成に入ってから増加し、平成15年(2003年)頃からやや減少傾向にあります。とはいえ、昭和の時代にはごく少数だったひとり親家庭も、現在ではそれほど珍しいものではなくなりました。最近ではシングルマザーの貧困が社会問題にもなり、経済的な問題を抱えるケースが後を絶ちません。

今回は比較的恵まれた状況に甘えず、自立を目指すシングルマザーの事例を紹介します。

相談者は正看護師を目指すシングルマザー

今回の相談者の五十嵐文香さん(仮名)は、病院勤め(准看護師)をしながら看護学校に通う35歳のシングルマザーです。小学5年生と2年生の元気な男の子を育てながら、正看護師を目指しています。

24歳で前夫と結婚してから2人の子どもに恵まれ、専業主婦として何不自由なく暮らしていました。夫は地元の有力な中小企業の社長の子で、将来は関連会社の社長になる予定です。

ところが、次男がまもなく小学校入学という頃から夫の様子が“急変”し、夫婦仲が悪化。3年前、とうとう夫から「別れてくれ」と離婚を切り出されてしまいます。

夫婦関係の修復は不可能と悟った文香さんは、約8年の結婚生活にピリオドを打ち、親権を取って子どもたちを自分ひとりで育てる決意をします。そして、何があっても自力で生きられるように、看護師を目指すことにしたのです。

今回FP相談に来たのは、子どもの教育費と自分ひとりの老後の見通しを立てるためとのことでした。