公益企業の成長性を見出し、グロインの組成に寄与

またその頃、注目したのがバイオ関連でした。たまたまピクテのウェルス部門のお客さまからのニーズもあって、社内にバイオ株式運用チームが存在していたのです。 当時はITバブルの崩壊直後でもあったので、まだ成長株に対するニーズは低く、これらの株式は割安に放置されていました。投資対象の企業分析をしたところ、利益は出ていませんでしたが、売り上げが急成長しており、そこでPSR(株価売上高倍率)を用いてプライシングモデルを組んだところ、極めて株価が割安であることが分かりました。

それ以外にも水関連企業や、新興国企業が割安に放置されていて、バーゲンハンティングをするには絶好のチャンスでした。その関連企業群を分析していくと海外の公益企業の配当利回りは非常に魅力的であるにもかかわらず、その配当額が安定して拡大していることが分かりました。また、電力企業がガスや水道事業を行う、公益企業の総合化という新しい成長モデルが起きていました。これがグロインの組成につながっていったのです。

ただ、その商品開発には注意が必要でした。たとえば中小型株式に投資している投資信託のように、流動性があまりない株式に投資する投資信託が作られると、資金の流入で投資している株式の価格が実態からかけ離れて、どんどん上がっていくといったこともありました。コロナショック以降、人気化した流動性のない成長株ファンドのなかには、ここ1年半で60%以上下落したものもあります。

このように市場参加者が少なく、流動性が欠如したマーケットでは、異常な価格形成を引き起こすことがあり、だから、流動性リスクをしっかりとした理解したアクティブの運用が必要になってくるのです。