つみたてNISA非課税枠では十分な老後資産の構築は難しい

次に毎月の積立金額を3万円にした場合は、国内債券型、国内株式型、バランス型がいずれも0%で、外国債券型が11%、外国株式型が78%となっています。もう少し見てみましょう。毎月の積立金額を4万円にした場合、国内債券型とバランス型は0%ですが、外国債券型は100%達成で、国内株式型が30%、外国株式型が93%となりました。

さらに、毎月の積立金額を5万円にした場合は、国内債券型が61%、国内株式型が60%、外国債券型と外国株式型、バランス型がいずれも100%となっています。

ちなみにここで用いられている「バランス型」は、低リスクのもので、資産配分比率は国内債券67%、外国債券5%、国内株式17%、外国株式8%、短期金融資産3%というものです。

この達成率が何を物語っているのかというと、これを言ってしまうと実もふたも無いと言われてしまいそうですが、「少額投資では十分な老後資産を築くことは出来ない」ということです。たとえばつみたてNISAの非課税枠は年間40万円です。これを毎月の積立金額にすると3万3333円です。

今、岸田内閣が打ち出している「資産所得倍増プラン」で、金融庁がNISAの制度変更要望を出すようですが、それによると、つみたてNISAに関しては、投資可能期間の恒久化に加え、非課税保有期間を現行の20年から無期限にするとなっています。そこで、仮に非課税保有期間が無期限に見直されたとして、毎月3万円前後を25年間積み立てたとしても、2000万円を達成できるのは国内債券で11%、外国株式で78%の確率なのです。

あるいは毎月の積立金額を3万5000円にしたとしても、国内株式で13%、外国債券型で48%、外国株式型で93%の確率でしかないのです。外国株式は、米国株式を中心にして1990年代以降、大きく値上がりしただけに、2000万円の達成率が高めですが、それ以外の資産クラスだと、達成率は低めになってしまいます。

結局のところ、これはあまりにも当たり前すぎるのですが、少しでも資産を大きく増やしたいのであれば、毎月の積立金額を大きくするしかないのです。

同レポートでは、毎月の積立金額を最高5万円に設定していますが、恐らく6万円、7万円というように増やしていくと、どの資産クラスでも2000万円の達成率は100%に近づくものと思われます。