9月の米国株マーケットの見通しとポイント

米国株投資において例年9月のポイントといえば9月5日の「レイバーデー」です。これは米国の祝日の一つであり夏のバカンスシーズンの区切りでもあります。また米国では9月に学校の新年度を迎えることもあり、レイバーデー明けの時期は新たな空気がマーケットを次のサイクルへと動かすことがよくあります。マーケットが次にどこに向かうのか、注意深く観察することが必要なタイミングとも言えるでしょう。

また季節性アノマリーに従えば9月の米国株は低調なことが多いです。実際、S&P500の月次パフォーマンスを1950年~2021年5月までの期間で比較すると、最もパフォーマンスが悪い弱気相場の月ともいえます。

そして9月20、21日にはFOMC(連邦公開市場委員会)が予定されています。先述の通り、ジャクソンホール会議での発言による“ジャクソンショック”がしばらく尾を引くかもしれない状況で、今度はFRBパウエル議長がどんな発言をするのかに注目です。

おわりに 

長く厳しいインフレが米国経済の先行きを不透明にする状況が続いており、米国株投資家の多くがギクシャクしたマーケットに不安を感じているかもしれません。

しかし経済のダイナミズムがあるからこそ景気サイクルがあり、その過程で利上げや利下げを実行するタイミングが今後も何度となくやってくるはずです。

もちろん、短期的なマーケットを考えれば利上げは苦しいと感じますが、見方を変えれば加熱した景気を正常に戻そうと、適切な金融政策を目指すFRBの姿勢も評価できるのではないでしょうか。

歴史を振り返れば米国経済はこれまでに何度も痛みを伴いながら経済成長を続けてきました。今こそ過去の歴史から学び、長期的な視点で投資と向き合う時期ではないでしょうか。

執筆/鈴木 林太郎

金融ライター、個人投資家。資産運用とアーティスト作品の収集がライフワーク。どちらも長期投資を前提に、成長していく過程を眺めるのがモットー。Webメディアを中心に米国株にまつわる記事の執筆多数。