外国人投資家のプレゼンスが年々増加
そして、この保有比率で最も注目されるのが、「外国法人等」でしょう。1970年度は4.9%しかなかったのが、2021年度は30.4%まで上昇しています。これは、国内株式市場において、いわゆる外国人投資家のプレゼンスが年々向上していることを意味しています。
もちろんこうした外国人投資家が、純粋に日本企業の将来成長性に期待して投資しているのであれば、それは純投資なので特に問題はないのですが、問題になるのは純投資以外の投資が行われた場合です。いわゆる「アクティビスト」の介入です。
アクティビストには2つのタイプがあります。ひとつは投資先企業の価値向上に必要なアドバイスを親身になって行ってくれるアクティビストであり、もうひとつのタイプは、「配当を増やせ」、「自社株を買え」、「役員を入れろ」など、自分たち自身の利益を最大化するために、投資先企業の資産を収奪しようとするアクティビストです。
株価が安い水準に放置されると、後者のアクティビストに狙われる危険性が高まります。彼らは資産価値に比べて株価が割安水準に放置されているような企業に投資をし、株主としての権利を主張するのです。
極端な話、格安の株価で投資した会社の資産を他社に売却して現金化し、利益を得るというケースも十分に考えられます。PBRが1倍を割れている企業は、その企業が保有している純資産に比べ、現在の株価が割安な水準で放置されていることを意味するので、純投資を目的としていないアクティビストに介入されるリスクが高まります。
日本の株価が安いままだと、このようなアクティビストの介入を許してしまいますし、日本企業がこれまで築いてきた富を、国外に流出させる恐れが高まります。これは日本国民にとってマイナスです。
株価対策の話が出ると、すぐに「金持ち優遇だ」などと反応する人がいますが、これは大きな間違いです。日本経済全体のことを考えれば、やはり株価は高いに越したことはないのです。